2011年1月 カナリヤの視点

Blog カナリヤの声

「蓄積する化学汚染と見えない人権侵害」 日弁連の決議と提言から7年が経過し、国の対策の一つとして、ようやくエコチル調査が始まりました。しかし、10数年先の調査結果が出るまで、現状の被害対策は実施されないのではないかという懸念があります。 近年、「化学汚染」という表現は「環境汚染」に置き換わり、環境問題のテーマは「地球温暖化」から「生物多様性」等に変わりながら拡大してきました。昨年、クマなどの野生動物が繁茂に出没して作物を漁るなどの異変が各地で報じられたことは記憶に新しいところです。一方で、ヒト社会においても、こどもへの虐待、所在不明の高齢者、証拠改ざんや隠滅、増え続ける化学弱者など、様々な異変が生じています。 見えない空気汚染に曝され続けて、健康を損ねている原因に気付いたとしても、証拠や因果関係を詳らかにすることは容易ではありません。外的損傷を伴わない健康被害の実態は見えにくく、空気汚染による苦痛に声を上げれば、異端者のレッテルを貼られて更に追い詰められるなど、被害者には安心して呼吸ができる居場所がありません。 21世紀の最初の10年も、因果関係の証のない空気汚染問題に対して司法の壁は厚く、被害者は泣き寝入りするほかありませんでした。 ようやく、昨年6月、タバコ問題は「空気汚染と人権侵害」であるとして、痛みを理解する弁護士の提言により、第二東京弁護士会人権擁護委員会において「受動喫煙防止部会」が設立されました。続いて10月に提言した「タバコの規制、 少なくとも薬事法適用を」は 国会でも現在議論されています。 「化学汚染と次世代へのリスク」を考えれば、国をあげて早急に取り組むべき問題です。 2011年、京都弁護士会環境保全委員会に化学物質部会が設置されました。 見えない空気汚染による被害の救済は、法制度と因果関係の立証を可能にする処方に懸かっています。