2012 1月 カナリヤの視点

Blog カナリヤの声

私たちは今、発ガン物質の海に生きている。 3.11以降、日本列島全体が多かれ少なかれ放射能に覆われ、人々は不安の中で暮らしている。 自然災害は繰り返し被害の爪痕を残すが、一過性のもの。一方、人災~放射能~は持続的に被害をもたらす。 【原発事故】・・・人間を含むあらゆる生物と自然環境に、 破滅的な影響をもたらしたのは誰か。 今回の原発事故が発生しなければ、私たちは日本に原発が54機も設置されていたことやそのリスクについて無知だっただろう。2度も原爆を投下された国の民として、為政者はもとより、学術団体・科学者は一体何をしていたのか、50年余りに亘ってどのような経緯で原発が導入されたのかを検証しなければ、日本の本当の夜明けは来ない。 【平気でウソをつく人たち】 と、リスクにどう向き合うか。 原発の「安全神話」が崩壊し、政府や専門家への信頼が揺らぎ、原子力技術に対する視線は厳しくなった。放射線被曝の不安の中で、市民自らによる放射線量の測定活動や、原発廃止のデモ・署名活動が全国に広がった。この危機を乗り超えるためには、被災現場で専門家と市民が連携できるような科学技術を導入する必要がある。 今回の原発事故から出た大きな犠牲によって、市民が目覚め、民主主義が育ち、「市民社会に春」を予感させる新しい方向性が見えている。しかし、【放射性物質にも劣らない有害化学物質や煙草の危険性】については叫ばれていない。放射性物質と化学物質は、暴露、有害性、症状、除染等に関して類似項が多く、ほぼ同様の対処が望ましい。 原発事故の影響は空間的、時間的に長大で、地球と生物にもたらす損失は計り知れない。他方、津波で流された農薬等の化学薬剤も目に見えない放射性物質と同様、気流や海流に乗って拡散し、長い年月、消えることがない。 近年、世界で多発している自然災害やテロの脅威は、我々の身近にも迫っている問題であり、また、そこに介在する放射性物質・化学物質の危険性と相互作用を考えれば、これらの対策は並行して取り組むべき課題である。市民がこの危機を知って行動する時、「化学物質弱者にも春」の到来が期待できよう。 2011年、当会はラジオ講座で 「地球と生命について~水から環境を考える~」を制作・放送した。講師の山室真澄教授は”水から”は、”自ら” 考えるという意味を掛けていると話し下記のように論を展開された。 地球環境を破壊する有害化学物質、放射性物質など、ヒトの活動による環境汚染物質の排出量を抑える社会への転換に向けて、排出規制、浄化技術など科学技術が重要である。同時に、自然環境の再生に必要なことは、温故知新、つまり、原点に立ち返って市民と科学者・研究者、国と自治体が充分な科学的思考と手法に基づき合意形成を行うこと。また環境教育を見直し、人々の暮らし方についても、市民が真実を知るよう努め環境意識を高めることが必要である。 私たちは、今後のテキストとして、「沈黙の春」と共に、欧州環境庁編の14の事例から学ぶ予防原則『レイト・レッスンズ』で学び、広める。


レイチェル・カーソン『沈黙の春』より 命あるものをこんなひどい目にあわす行為を黙認しておきながら、人間として胸の張れるものはどこにいるであろう?    ――事態はいまやきわめて複雑だ。さまざまな形態の放射線や、あとをたつことなくつくり出されてくる化学薬品の流れ、この先どうなるのか、見通すこともできない。直接、間接的に、個別的、集合的に押し寄せる化学薬品――私たちの世界は化学物質の波をかぶってずぶぬれだ。私たちが身の回りにまき散らしている化学薬品には染色体を打ち壊すだけの力が潜んでいる。放射線や、放射線と同じような性質の化学物質に身をさらすと、たいてい白血病にかかる。ストロンチウム90と同じように、特に骨髄に引き寄せられるものがある。殺虫剤の溶剤に使われるベンゼンは、骨髄にたまり、20か月たっても消え去らない。突然変異誘発物で癌の原因となるものには、ほかにウレタンがある。ウレタン系の化合物が胎内で胎児に影響を及ぼし、腫瘍ができることがある。カーバメイト系であるウレタンは、除草剤IPCやCIPCに近い。カーバメイトは,殺虫剤、除草剤、殺菌剤に広く使われ、ほかにもいろいろな可塑剤、薬品、衣類、断熱材などにも入っている。物理的因子と化学的因子が相互に作用しあうこともある。