受動喫煙症 ≠ 化学物質過敏症

Blog カナリヤの声

受動喫煙症と化学物質過敏症は同じではない。いずれも有害化学物質の反復曝露により発現する症状であるが、原因物質の生成が同じでなければ人体への有害性も先行き重篤度も同等ではない。同一の物質でも、その生成過程(揮発、燃焼)により毒性が異なる。7000種を超えるタバコの成分は同定され、残留性/分解性・生態蓄積性・ 慢性毒性・長期毒性・発ガン性など有害性は科学的に証明されている。当会では、化学物質が発症要因であるアレルギーやシックハウス症候群、化学物質過敏症、受動喫煙症は「化学物質による健康障害」として認識し、原因物質と発生源、予防対策について調査と学習を重ねている。タバコ成分(多種化学物質)の燃焼による空気汚染は、一般に危機意識が希薄であったのか、化学物質関連の団体でもタバコへの取り組みは希少であった2008年、当会は講演会を重ねてタバコは有害化学物質の固まりであると知らせ、燃焼煙の猛毒危険性について啓発活動を進めた。この頃から受動喫煙の症状を訴える患者が増加したとの専門医の記述もあるとおり、最近になって受動喫煙の被害症状を化学物質過敏症と診断された人も出始めている。化学物質過敏症は健保適用可であるが、受動喫煙症は傷病名登録もなく健保不適用であることも正確な診断が妨げられる要因となっている。 今回のタバコフリー学会で、受動喫煙疾患の国定診断基準と傷病名登録の必要性を提起したが説明不足で理解に至らず。その主旨と併せて双方の診断基準より確認できる相違点を下記にまとめた。 受動喫煙症≠化学物質過敏症について、?「受動喫煙症」―受動喫煙(燃焼多種化学物質)により発生する疾患他人が吸うタバコの煙や残留ガスを吸わされる反復曝露により「慢性受動喫煙症」に至る過程では気管支炎、喘息、副鼻腔炎等と共に化学物質過敏症も併発する。受動喫煙が継続すれば、これらに重ねてCOPD・悪性腫瘍(肺癌、子宮頚癌、白血病・副鼻腔癌)などの重症、脳梗塞・心筋梗塞など致死性の疾患に至ることもあり、喘息患者にタバコの煙は致命的である。?「化学物質過敏症」―農薬や溶剤など主に揮発性化学物質被曝による発症1999年「化学物質過敏症」を紹介した専門医の記述には「化学物質過敏症」の原因物質に「タバコ」は含まれず、「タバコの煙に要注意」と記載されている。「化学物質過敏症」を発症しても日常的に受動喫煙の被曝がなければ慢性受動喫煙症~重篤疾患には至らないと考えられる。<国の対応>◆受動喫煙症―タバコに含有する有害化学物質が原因と解明されている。 厚生労働省による傷病名の登録なし―健康保険不適用◆化学物質過敏症―農薬ほか多種化学物質の被曝で発症-医学的に未解明として厚労省-疾病分類―「詳細不明の物質の毒作用」にて-傷病名登録

 健康保険適用(2009年)?「化学物質過敏症」は厚生省発の策定による診断基準(1997 年)により、有機リン系農薬や有機溶剤ほか化学物質の曝露を原因として中枢神経系への健康影響が軸となっており、受動喫煙の被害症状に現れる呼吸器系疾患と重症に至る疾患の概念や症状レベルの基準がない。?「受動喫煙症」は日本禁煙学会と禁煙推進医師歯科医師連盟が提案した受動喫煙による疾患の診断基準である(2006年)。タバコの煙に曝された急性症状から慢性、重篤に至る疾患の症状レベルも明示され原因が究明されているにも拘わらず厚生労働省による傷病名の登録は存在しない。*喫煙関連では、2006年から禁煙治療が健保適用可となっている。参考資料・たばこ中の有害成分を対象とした我が国の既存法令における化学物質規制の枠組み1 国立がん研究センターがん対策情報Sたばこ政策研究部(2013年)・化学物質過敏症に関する解析調査報告書(総務省公害等調整委員会事務局)・タバコ病辞典 ・化学物質過敏症―石川哲
(著), 宮田 幹夫
(著)1999/11 かもがわ出版