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京都カナリヤ会・・・有害物質による健康被害者の支援と予防活動を推進する市民の会
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京都カナリヤ会 設立一周年 記念講演会 〜私たちと未来の子どもたちのために警鐘を〜

日時 2009年3月14日(土)14時30分〜16時
場所 せいきょう会館会議室 (京都市中京区烏丸夷川)

矢印プログラム内容
講演 「化学物質や歯科金属のアレルギーと ステロイド剤による健康障害」
島津恒敏さん (医療法人島津医院 院長)

主催 京都カナリヤ会
後援 レイチェル・カーソン日本協会関西フォーラム
協力 鮎の会   アレルギーネットワーク京都


<主催者代表 挨拶> 
皆様、こんにちは。お待たせいたしました。
本日も会場いっぱいのご参加を頂きまして有難うございます。
おかげさまで、京都カナリヤ会は設立一周年を迎えることができました。
本日は、先ほど第一回総会を開催し、会員の皆さまに活動報告と今後の計画を諮ったところでございます。 今日の講演会は、総会のあとの会員の勉強会と併せて企画しました。
それでは、只今から京都カナリヤ会の念願でもあります「私たちと未来のこどもたちの生活環境を守る社会の実現」に向けて、 設立一周年記念の講演を島津医院院長の島津恒敏先生に行って頂きます。

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■講演 「化学物質や歯科金属のアレルギーとステロイド剤による健康障害」

島津恒敏さん(医療法人島津医院 院長) 〜小児科・アレルギー科専門医の立場から〜

はじめに
今日の内容は、アカデミックな研究というより、市民の、または患者の立場に立って診療をしてきた臨床から話を進めます。

1. 地球と生命体―地球環境と私たちの生活環境の変化がもたらすもの
今、私たちが生きている21世紀は人類の存続が危惧されるような状態を迎えています。
近年のアレルギーや化学物質不耐症状に苦しむ人の増加は、生活環境の破壊に対して体が発している危険信号でもあります。この実態は、これまで人類が子孫に伝えてきた遺伝子が傷つけられ変化が起きている現象と考えられます。次世代の遺伝子や内分泌系を傷つけるような、有害物質や環境破壊を避けなければ、私たちと未来の子どもたちの健康は守れないと警告していくことが重要です。

2. 人体に蓄積する化学物質の影響
私たちの体は60兆個の細胞から出来ていますが、うち2兆個の細胞は免疫系として、神経系や内分泌系(ホルモン)など共同して統一した機能を営んでいます。
免疫系、内分泌系、神経系の異常が化学物質によって引き起こされるものとして、シックハウスやシックスクール症候群があります。化学物質過敏症はアレルギーとよく似ていますが、抗原・抗体反応とはちがう仕組みで起きると考えられます。時には、アレルギー性皮膚疾患や喘息とからんで症状が出てきます。

また、体と脳の間にあって関所の働きをしている血液脳関門が未熟な胎児期・乳児期には化学物質が脳に入り影響を受ける危険があります。
生活の中に危険は満ちあふれています。食べ物の添加物、防腐剤、合成着色料、薬品添加物でもアレルギー様の症状が起こることがあります。
また、空気の汚れは、大きい影響を及ぼします。重金属の微粒子など肺胞に入って分解されないものは一生、体に残っています。小さい頃からいろいろなものを吸い込むことによって、集積されていろいろな影響が起こってきます。



3. アレルギーの治療の基本はその原因を見つけ出すこと
治療は対症的な薬物療法に走らず、生活環境中の原因物質を見つけ出し回避することが第一です。
免疫系のTリンパ球は、Bリンパ球を介して様々な物質に対する抗体を作り、それによって異物から体を守ります。アトピーやアナフィラキシーは、種々の物質に対するIgE抗体がBリンパ球によってたくさん作られることで起こります。 一般的には子どもはアナフィラキシーを起こすような抗体を、生まれた時からもっているわけではありません。生活環境中の抗原によって、生まれて数カ月でアレルギーを起こす体になるのです。
アレルギーの原因になる物質(抗原)として、ダニ、食物、花粉、金属(歯科金属)、薬品、カビ、動物、化粧品、洗剤、ゴム、合成着色料、防腐剤、保存料、農薬、細菌、大気汚染物質、ウイルスなど、過敏な反応を起こしやすくする因子は身近にあります。

4. 副腎皮質ホルモン(ステロイド)の乱用と重症化
今のアレルギー治療は、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を与えて症状を抑えるだけで、生活環境中の原因を取り除こうとしません。その結果、種々のストレスへの対応で中心的役割を担っている視床下部にダメージを与えて、体の調節を困難にすることになります。
患者の多くは副腎皮質ホルモン〔ステロイド〕依存症とでもいうべき状態になっています。 環境ホルモンには臨界期があって、乳児、新生児期に受けると一生影響が残ることが知られています。
  合成副腎皮質ホルモンは投与された量がごくわずかでも、その受容体の異常が起こり、感受性が弱くなります。それがアレルギーや化学物質過敏症が増加する原因の一つになっているのではないかと、私は考えています。
動物実験では、ステロイドを使用しているとIgE抗体が出来やすくなることがわかっていますが、実施、「治療」のためにステロイド外用剤を使用していた乳児では、そのほとんどで種々の食物や環境物質に対するIgE抗体が作られていき、その結果、体が過敏になっていきます。
他方、ステロイドを全く使用しなかった乳児では、成長するに従い、症状は改善し、IgE抗体も増えてきません。 また、ステロイドの使用をやめようとすると、しばしば激しい離脱症状が6-10ヶ月間は続き、この間、症状は改善せず、大変な苦しみを味わわなければなりません。

5. プロトピックは安全か
免疫抑制剤の軟膏タクロリムス(商品名:プロトピック)が子どものアトピー性皮膚炎の治療に使われています。 
私は、他の病院で、ステロイドと一緒に3年間プロトピックを使用し、治療を受けていた少女が皮膚悪性リンパ腫を発症していたことを発見し、報告しました。その際の、私たちの調査では、メーカーが未公開にしていた資料からも、動物実験では、長期間連用すると、薄い濃度でも発がん率が高くなることがわかりました。厚生労働省に承認しないよう申し入れましたが、認可されてしまいました。
患者に、「高い血中濃度では悪性リンパ腫などの発がんが報告されている」と説明して、了解を得てから、使用するという条件つきですが。 「ステロイドのような副作用が無い」との触れ込みで、多くの患者に使用されてきたたアメリカでは、多くの犠牲者が出て、昨年秋から、プロトピック訴訟が始まっています。

6. 化学物質過敏症と歯科金属アレルギー
アレルギーを誘発する金属は、歯科治療に使用されている水銀、ニッケル、金、パラジウム、インジウム、銀、チタンなどで、ビスフェノールAが問題になるレジン(プラスチック)もときにアレルギーを引き起こします。患者のほとんどは水銀やニッケルに反応します。金は37%、銀は27%、パラジウムは31%、インジウムが24%の人が反応します。パラジウムは最近の検討では、ニッケル同様の強い感作をおこし、もとと高頻度にアレルギーの原因になっていることがわかってきました。

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水銀は特に問題ですが、アメリカや日本の歯科医は問題がないとして水銀(アマルガム)を使い続けています。歯の金属を除去することで7割くらいはよくなっています。
10年余り前に京都の小学校で調べたところ、歯に水銀を詰めている子が38.3%いて、そのうちの2人に1人は皮膚炎を起こしていました。詰めていない子は皮膚炎が7.6%でした。口の中に水銀〔アマルガム〕と金等の貴金属合金が共存すると、電流が流れ、水銀が爆発的に溶け出します。金を入れて、水銀がそれまでの10倍も溶け出し、突然ひどい皮膚炎になった患者もいます。原因に気がつかなければ、難治性の皮膚炎が続くということになります。

日本では、水銀は10年余り前に年間4トン、今でも1トン弱使っています。歯1本にアマルガム中の水銀0.3gとして3百万本分です。今はほとんど使用されなくなったとされていますが、数年前の京都の歯科医での調査ではまだ25%が使っていました。これが口の中に入ったままで、化学物質過敏症の下地を作っている可能性があります。
スウェーデンのアマルガム被害者同盟は、1970年代から歯に詰める水銀の危険性を問題に してきましたが、アメリカの歯科医師会は、害は少ないとしています。しかし歯の水銀などの金属を取り除くことでいろんな症状がよくなっている例はたくさんあります。
歯科金属アレルギーの治療の結果、それまで、原因不明とされ、 家事や、日常生活もほとんど満足にすごせなかった主婦が、見違える様に元気になったというケースもありました。

7. 終わりに、こどもたちの未来を祈って
被害者が声を上げ、健康被害の因子に警鐘を鳴らしていきましょう。
講演に際し、ステロイドによる副作用や長い間のひどい歯科金属アレルギーに苦しみながら、診断と治療に耐え、協力して下さった患者のみなさんに深謝します。


(16時10分 講演終了)

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<主催者代表 終了の挨拶>
ご清聴ありがとうございました。
皆様、いかがでしたか。私たちは日頃の生活の中で知らず知らずの内に取り込んでいる医薬品や歯科治療材など、今一度考える機会になりましたでしょうか。
投薬も治療も、事故や後遺症が出て初めて大きなリスクがあることを認識することになります。 治療にはどんな方法を選ぶか、自身で選択する知識が求められます。

 本日は、予定を上回るご参加を頂き、関心の高さを確認することができました。 数々の臨床例を画像で見せて頂いて、皆さん熱心にしっかり聴いて下さって、具合が悪くなることなく無事に過ごせました。
島津先生、ありがとうございました。

■ゲスト・スピーチ

それでは、この後、少しお時間を頂きまして、 今回の催しの協力団体「鮎の会」代表の外村律子さんに、これまで島津先生との関わり等、一言お話しして頂きます。「鮎の会」の活動は20年余りという歴史ある団体です。

「鮎の会」代表 外村律子さん
皆さん、こんにちは、鮎の会の外村です。
鮎の会は1985年から、山科を中心に、食物アレルギーで苦しむ子どもを抱える親が集まって活動をはじめました。島津先生には高槻の頃からお世話になりました。
今日は十数年ぶりに先生の講演をお聴きして、歯科金属とアレルギーの治療が全国的に知られるようになったと思いました。今後はアレルギーの会も手を取り合って健康障害の予防に連携活動ができることを願っています。
島津先生、ありがとうございました。


続いてもうお一方、今日のお話にも出ましたステロイドの被害で、青春時代を顔にやけどのような化学傷害に遇われた江崎ひろこさんも参加されていますので、ご紹介します。

江崎ひろ子さん
全国初のステロイド裁判の原告、江崎ひろ子です。
20歳の頃に顔の吹き出物に処方されたステロイド外用薬の被害を医療ミスであると訴えて6年間、苦しみの中で勝訴しました。現在は「ステロイド&ワセリン110番」で電話相談とブログで、ステロイドを使わない子育てに関する情報を提供しています。
私のような医療事故が二度と起きないように願っています。


京都カナリヤ会の初年度の活動では、有害化学物質は、口(食品・誤飲)から、呼吸器(空気汚染)から皮膚(接触)から人体に浸透し、ある種は体内に蓄積すること、そして、その毒性と危機について学びました。ちょうど、この頃から有害化学物質による事件が相次ぎましたので、人々の関心も高くなっていた時でもあり、講演会の開催を通じて広く知らせることができました。

社会全般に総点検が必要である、個人では防ぎようのない、危機が迫っていることを、参加者で共感しました。暮らしの中で多量に使われている薬剤の使用を控え、社会全体から有害薬剤を減らさなければならないと、広く呼びかけることを提議しました。

化学物質過敏症と呼ばれる症名について、未だに発症要因が解明されておらず、傷病として認められておりません。
このような状況の中で、本日、島津先生の臨床研究の成果から、確認された発症要因をお伺いすることができました。今後も発症の原因物質を発見して下さることを期待しています。
この問題に関わって頂ける数少ない医師であり、研究者である島津先生には、京都カナリヤ会の相談役もお願いしています。

京都カナリヤ会は、今年度の活動の目標も「有害物質の人体への影響」とその「被害の予防」を中心に活動を進めて参ります。 活動資金と人手の見込みがなければ、講演会も開催できませんが、健康被害者の声や皆様の関心とご支援を頂ける限り、努力いたします。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。


(16時30分)
それでは、皆様、これにて本日の講演会を終了させて頂きます。
島津先生にもう一度、拍手をお願いいたします。
皆様、ご清聴、有難うございました。

予定時間も超えて、島津先生に大きな拍手で終えました。
その後は、質問の行列ができてしまいましたが、先生は快く応答して下さっていました。 会場は、さながら交流会のように名残り惜しい雰囲気になっていました。

参加者の皆様に、当日お願いしましたアンケートには、 もう一度島津先生の講演会を開催してほ しいとのご希望が多く寄せられています。

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